序.伝道者の書の旋律
1:2 空の空。伝道者は言う。空の空。すべては空。
・「空の空」は、空しさの最上級。人生がいかに空しいのかを、丹念に語る。
・神の恵みの主旋律をはっきりさせるために、低音の空しさを語る。
1.人生の空しさ
・著者ソロモンは、イスラエル国家が最も栄えた時代の王。知恵と名声に富んだ。
・そのソロモンが「空の空」と人生の空しさを語った。
「地上の空しさ」→1:4 一つの世代が去り、次の世代が来る。しかし、地はいつまでも変わらない。
「快楽の空しさ」→2:1 私は心の中で言った。「さあ、快楽を味わってみるがよい。楽しんでみるがよい。」しかし、これもまた、なんと空しいことか。
「労苦の空しさ」→2:22 日の下で骨折った一切の労苦と思い煩いは、人にとって何なのだろう。
「成功の空しさ」→4:4 私はまた、あらゆる労苦とあらゆる仕事の成功を見た。それは人間同士のねたみにすぎない。これもまた空しく、風を追うようなものだ。
「富の空しさ」→5:10 金銭を愛する者は金銭に満足しない。富を愛する者は収益に満足しない。
2.空の意味
・伝道者が語る空(くう)は、神なき人生の空しさ。そこには闇と虚しさが無限大に広がっている。
・実は、誰もが人生の空しさをうすうす感じている。しかし、人生の空しさに目を向けたくない。
・人は空っぽの人生を様々なもので埋めるため、多くの本を読んだり、何かに熱中する。
12:12 わが子よ、さらに次のことにも気をつけよ。多くの書物を書くのはきりがない。学びに没頭すると、からだが疲れる。
・人は、神を否定した人生の空しさを心の奥深くでわかっている。
12:13 結局のところ、もうすべてが聞かされていることだ。神を恐れよ。神の命令を守れ。これが人間にとってすべてである。
3.神の摂理の中で
・伝道者がどうしても伝えたかったことは、人生の空しさを認め、人生に神を認めること。
5:19 実に神は、すべての人間に富と財を与えてこれを楽しむことを許し、各自が受ける分を受けて自分の労苦を喜ぶようにされた。これこそが神の賜物である。
8:17 すべては神のみわざであることが分かった。
・神は人間を見捨てることなく、事に常に関わってくださる。それが「神の摂理」。
・それなら、なぜ神はこんなことをするのか。ソロモンは次のように語る。
5:2 神の前では、軽々しく心焦ってことばを出すな。神は天におられ、あなたは地にいるからだ。
・神と人との「質的差異」。罪があり限界のある人間が、神の思いや考えをとらえることができない。
8:8 風を支配し、風をとどめておくことのできる人はいない。死の日を支配することはできず、この戦いから免れる者はいない。
12:14 神は、善であれ悪であれ、あらゆる隠れたことについて、すべてのわざをさばかれるからである。
3:11 神のなさることは、すべて時にかなって美しい。神はまた、人の心に永遠を与えられた。しかし人は、神が行うみわざの始まりから終わりまでを見極めることができない。
・神のもとに帰り、信頼して従うなら、からっぽの人生は満たされる。
7:14 順境の日には幸いを味わい、逆境の日にはよく考えよ。これもあれも、神のなさること。
・私たちの人生に起こりくるすべてのことを、神が責任をもってくださる。
・からっぽの人生を、満たされた人生へと転じるには、神様のもとに帰り、神様に従うこと。
12:11 これらは一人の牧者によって与えられた。
・私たちの牧者(羊飼い)、人となってこられたイエス・キリスト。
Ⅰペテロ2:25 あなたがたは羊のようにさまよっていた。しかし今や、自分のたましいの牧者であり監督者である方のもとに帰った。
・牧者(羊飼い)なるイエスに従い、神の恵みに満たされて歩みたい。