序.苦しみの意味
・「苦しみ」は人類の大きな課題。 釈迦の悟りは「一切皆苦(全て思いどおりにはならない)」
・聖書は、苦しみの根本原因は罪の堕落であり、罪とは神との関係が断ち切られた状態と語る。
・ヨブ記の問いは、神との関係を回復した正しい者にも苦しみがあるのはなぜか。
※エステル記までは歴史書。ヨブ記からは詩書(ヨブ、詩篇、箴言、伝道者の書、雅歌)。
※詩書は、人生において何を大切にし、何を基準として歩むべきかを考えさせ、教える。
※ヨブ記の構造・・・
序論「問題提起」・・・1~2章(散文)
「友人との論争」・・・3章~42:6(詩文)
「ヨブの独白」・・・27~31章(詩文)
「エリフの論述」・・・32~37章(詩文)
「神とヨブとの対話」・・・38~42:6(詩文)
結論「問題の結末」・・・42:7~17(散文)
1.ヨブの信仰
・信仰深いヨブが、突然の災いによって、一日ですべてのものを失った。→1:1-19
・災難と苦難の中で、ヨブは信仰を貫き神を賛美した。→1:21-22
1:21 「私は裸で母の胎から出て来た。また裸でかしこに帰ろう。【主】は与え、【主】は取られる。【主】の御名はほむべきかな。」
・ここに信仰の神髄が見られる。どのような状況であっても神は神であると賛美し告白する信仰。
・ヨブの信仰は、聖書の福音の正しい理解からくる。
・人生の最終目標は、地上での歩みではなく、神のもとに帰ること。そこに喜びと幸いがある。
2.神とヨブの信頼関係
・ヨブの災難の背後に、神とサタン(悪魔)の議論があったことはヨブは知らない。
・ヨブの信仰を試すサタンの攻撃を、神が許可したことは理解し難い。→1:12
・1:8を見ると、ヨブがアブラハムのように神と契約関係を結んでいたことがわかる。
1:8 【主】はサタンに言われた。「おまえは、わたしのしもべヨブに心を留めたか。・・・」
・契約関係とは、神が契約者を守り、契約者はどんな時も神に従うこと。信頼関係。
・神と人間の特別な信頼関係を破壊しようとするのがサタン。
・毅然とした信仰態度のヨブに、サタンはさらなる災いを下す。
・財産を失い、子どもを失い、ヨブ自身も重い病気に、それでも信仰を曲げなかった。→2:10
3.ヨブの苦しみの告白
・しかし、ヨブも完全無欠な信仰者ではない。友人たちの登場で弱点が露わに。→3:1-26
・ヨブは信頼できる三人の友が寄り添ってくれたことで、自分の内にある思いを正直に話せた。
・信頼できる信仰の友に、内なる思いを分かち合い祈り合うことは必要な助け。
(教会の仲間は共に助け合い祈り合うためにある)
・ところが、ヨブの三人の信仰の友は、誤った導き方をしてしまう。
・三人の友人は、ヨブの災いは悔い改めていない罪があるからと、「因果応報」で問い詰めた。
・ヨブは、自分の罪は神の前に認め、絶えず悔い改めていたので「潔白」と称された。→1:1
・友人の詰問に、ヨブはついに、神に見捨てられたのではないかと迷いが生じる。
4.どこまでも神に信頼して歩む
・神はヨブの疑問に直接には答えず、神ご自身の偉大さと聖さを告げる。→38章~41章
・偉大な神の前に、自分のなすべきことは神に信頼し続けることだと真の意味で理解した。
42:2 あなたには、すべてのことができること、どのような計画も不可能ではないことを、私は知りました。
・この世界に起こること、自分の身に起こること、苦しみの意味は人間にはわからない。
・しかし、神が私たちを愛し、最善へと導いてくださることは確かなこと。
・神は私たちを信頼する。 私たちも、どのような苦しみの中でも、神に信頼したい。